妊娠中の風邪の対処法|胎児に影響は?食べ物・市販薬・病院に行く目安も

妊娠中の風邪の対処法|胎児に影響は?食べ物・市販薬・病院に行く目安も

公開日:2019-08-20 | 更新日:2021-10-29

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妊娠中に風邪を引いてしまったら、どうすれば?

「風邪薬を飲んでもいいの?」
「お腹の赤ちゃんに影響はない?」
と心配になってしまいますよね。

お医者さんに、妊娠中の風邪対処法や病院に行く目安を聞きました。

石野 博嗣 先生

監修医

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長

妊娠中の風邪の対処法

先生(男性)

まずは慌てず、体を温かくして安静にしましょう。
消化によい食事をとって、こまめに水分補給
をしましょう。

風邪薬は、自己判断で飲むのは避けてください。必ず医師・薬剤師の指示に従いましょう。

妊娠している際に風邪(かぜ症候群)に感染しても、ほとんどが自然治癒していく疾患です。風邪をひいたなと感じたら、早めに休暇をとりましょう。

おすすめの食事

先生(男性)
柔らかいもの、繊維の少ないもの、脂質の少ないものがおすすめです。

柔らかく煮た野菜のスープおかゆ、白身魚鶏のささみなどです。加熱してあるものが良いです。煮物や蒸し物などが良いでしょう。

おすすめできない食事

先生(男性)
揚げ物炒め物は控えましょう。
脂質や繊維の多いもの、香辛料のきいたもの、しょっぱいもの、酸味の強いもの、炭酸などは控えましょう。

熱いもの・冷たいものも胃腸への負担となります。

胎児への影響が心配…

先生(男性)
風邪自体が、赤ちゃんへ影響を及ぼすのは稀です。
しかし、妊娠初期に風邪薬を飲んだ場合と、高熱が続く場合は、影響が出る場合もあります。(※後述)

風邪のような「妊娠初期症状」がでているケースも

先生(男性)
妊娠中は、ホルモンバランスの影響で“いつもと違う体調になりやすい”ことも原因としてあげられます。例えば…
  • 吐き気がある
  • 寒気がある
  • 食欲がわかない
  • 頭が痛い
  • 喉がイガイガする
  • 咳や鼻水が出る
  • 熱っぽく頭がぼーっとする
  • 倦怠感がある
  • 吐き気や胃のむかつきがある

こんなときは…

先生(男性)
無理して動かないようにし、ゆっくり過ごすようにしましょう。体を冷やさないようにして暖かく過ごしましょう。

食欲がない場合は、消化の良いものをゆっくり食べるようにしましょう。

妊娠中に「風邪薬は勝手に飲まないで」

薬

妊娠中に風邪薬を飲んでも大丈夫でしょうか?
ママ
先生(男性)
妊娠0週から15週(妊娠初期〜胎盤完成)くらいまでは、風邪薬が胎児に何らかの影響・負担を掛ける場合があるため、市販薬の服用を避けたほうがよいでしょう。
配合されている成分によっては、胎児の育成や体に負担がかかるものもあります。

妊娠中は推奨されていない成分も多くありますので、薬を飲みたい場合は医療機関で処方を受けるのがよいでしょう。市販薬を使用しなければいけないときにも、薬剤師・医師に確認をしてから服用しましょう。

もしも誤って薬を飲んでしまったら、すぐにかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

先生(男性)
妊娠16週(妊娠中期)になっていれば、風邪に対応した薬の影響は少ないとされています。

ただし念のため、全て主治医に相談の上で服用しましょう。
イブプロフェンやアスピリンなどは避け、アセトアミノフェンを使うのがおすすめです。

 漢方薬ならOK…ではない!

葛根湯などの漢方なら、服用してもいいですか?
ママ
先生(男性)
漢方だから飲んでOKというわけではありません。
漢方薬の中にも妊娠中には避けたほうがいい成分も多くあります。大量に摂れば胎児に影響が出る可能性もあります。

漢方薬は効き目が穏やかなイメージがありますが、漢方薬も“薬”です。漢方薬だから妊娠中も安全というわけではないので、他の市販薬と同じように使用したい場合は、薬剤師や医師に相談してください。

熱があるときの対処法

頭痛

先生(男性)

妊娠初期の高熱には注意が必要です。37度台であれば、数日様子を見て快方に向かえば問題ないですが、38度以上の発熱となった場合は、一度、病院を受診しましょう。

妊娠中期以降は、赤ちゃんのベッドである「胎盤」が出来上がる頃には、体温は徐々に高温期より下がり、36.6度からそれ以下になります。ただ、個人差もありますので、妊娠中期以降に36.7度以上あっても、体調が悪くなければ問題ありません。

体調が悪い場合には、一度、病院を受診しましょう。

妊娠初期は胎児の器官が作られています。妊娠初期に母体に高熱が続くと胎児の奇形や神経管欠損といったリスクが高まるとされています。

また、胎児は胎盤を通じて、母体や羊水などに自身の熱を出し、体温を調節しています。

しかし、母体が発熱すると羊水の温度もあがり、胎児は熱を外に出せなくなり、体内に熱が蓄積します。何日も母体に熱が続くと胎児にも影響が出る可能性があるとされています。

38度の熱がでたら、なるべく早く近くの内科を受診しましょう。
医師には必ず妊娠していることを伝えて、解熱剤や咳止めといった症状に合った薬を処方してもらい悪化を避けましょう。

 体の冷やしていいところ・ダメなところ

先生(男性)
頭は冷やして良いですが、お腹は冷やさないようにしましょう。
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咳・鼻水の対処法

先生(男性)

咳だけ続くと「お腹の赤ちゃんは苦しくないのかな」と不安になることもありますよね。咳そのものが原因で赤ちゃんに悪影響があることはありません。

咳がつらいときは、部屋の湿度を上げて、咳を和らげましょう。

  • 加湿器をつける
  • 濡れたタオル・衣類などを干しておく
  • 湯を沸かす
  • マスクを着用する
  • こまめに水分を口に含む
  • のど飴を舐める
  • 蒸しタオルを鼻にあてる
  • 寝るときは、クッションなどを背中に挟み、状態を少し起こした姿勢にする

などの方法をとるとよいでしょう。

激しい咳が続く場合は、母体の体力が消耗して、子宮を縮小させ、お腹に張りや痛みが出る場合がありますが、咳だけが原因で流産や早産を招くことはないといわれています。しかし、肺炎を併発していると妊婦の場合、重篤化しやすいので入院が必要になる場合があります。

医療機関では、沈咳薬(咳止め)を処方してもらえます。必ず妊娠していることを伝え、妊娠中でも使用できる薬をもらいましょう。

咳の受診目安

先生(男性)
3日ほど続いていたら、かかりつけの病院に相談するとよいでしょう。咳が止まらない、のどの痛みがひどい場合は、自己判断で薬を服用せず、すぐに相談しましょう。
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風邪が治らないときの対処法

風邪がずっと長引いて…1か月以上も治りません。
どうしたらいいでしょうか。
ママ
先生(男性)

妊娠中は免疫力が低下しているため、風邪が治りにくいことがあります。

風邪のような症状が長期間続く場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性があります。

症状が続く場合は、医療機関を受診して診察をうけましょう。

妊娠中の風邪の受診タイミング

先生(男性)
  • 38度以上の発熱が2日以上続く
  • 咳が3日以上続く
  • 嘔吐・下痢が続く
  • 鼻づまりがつらい
  • 風邪症状によって日常生活に支障がでている

といった症状が出ている場合は、病院を受診してください。

妊娠中の風邪は「病院は何科?」

妊娠中に風邪は、何科を受診すればいいでしょうか?
ママ(困り顔)
先生(男性)
まずはかかりつけの産科診療所へ電話で連絡し、指示に従って下さい。
最近は、院内感染防止の観点から、かかりつけの産科でなく内科などで診てもらうことも増えてきています。

鼻水・鼻づまりが良くならない・鼻が詰まって頭がぼーっとするといった場合には、アレルギー性鼻炎や急性副鼻腔炎を発症しているかもしれません。耳鼻いんこう科を受診しましょう。

咳が続いている場合は「咳ぜんそく・肺炎・結核・肺癌」の可能性があります。2週間以上経っても咳が続いている場合は、内科・呼吸器科などの病院を受診してください。

嘔吐・下痢があるときは、細菌やウイルス感染による胃腸炎や食中毒といった病気も考えられますので、内科を受診し検査、治療を受けましょう。

先生(男性)
いずれの場合も、かかりつけの産婦人科以外を受診する場合は、必ず妊婦である旨を伝えましょう。

▼発熱・嘔吐・下痢の場合は…

内科を探す

▼咳が続く場合は…

内科を探す

▼鼻づまりがつらい場合は…

耳鼻いんこう科を探す

病院の受診が必要な場合

横になる妊婦

先生(男性)

妊娠中は、

  • 下痢
  • 嘔吐
  • つよい下腹部
  • 膣からの出血

のような症状に特に注意が必要です。

必ず病院を受診してください。
切迫流産、切迫早産、常位胎盤早期剥離などが考えられます。

参考
基礎からわかる 妊婦・授乳婦のくすりと服薬指導 山中 美智子(ナツメ社)

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※記事の内容は公開日時点の情報です。公開後の状況により、内容に変更が生じる場合があります。

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