ピル中止後、生理がこない。もしや妊娠？それとも生理不順？｜医師監修

ピルの服用をやめた後、生理がこない。

こんなことって、よくあるの？
それとも妊娠してるの？

お医者さんが、「ピルをやめた後の生理」について解説します。

監修医

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年　日本医科大学産婦人科教室入局　日本医科大学付属病院　産婦人科研修医
2001年　国立横須賀病院（現 横須賀市立うわまち病院） 産婦人科
2002年　東京都保健医療公社　東部地域病院　婦人科
2003年　日本医科大学付属病院　女性診療科・産科 助手代理
2004年　日本医科大学付属第二病院　女性診療科・産科　助手
現在　石野医院の副院長

なぜ？ピルを飲んだら生理がこない

休薬期間に入っても、生理が来ません…。なぜでしょうか？

生理がこない原因として

• 妊娠している
• 生理が遅れている
• 子宮の不調や病気
• 経口避妊薬（低用量ピル）を飲んでいる

などが考えられます。

妊娠以外の原因としては、ピルを使っていると、ピルの働きによって子宮で増えるはずの子宮内膜が増えずに生理がこないことがあります。
これは、ピルを飲んでいる一定の期間のみ起こることなので、問題はありません。将来的にも生理や妊娠に影響することはないとされています。

念の為、休薬期が終わっても生理がこない場合は、妊娠の可能性を踏まえて次のシートをスタートする前に妊娠検査薬を試してみましょう。

ピル服用中も「妊娠する可能性はある」

• ピルを100%信用している
  
• ピルの飲み忘れ
  
• 体調不良（食欲不振、胃腸炎、頭痛などがもともとあると、妊娠での体調不良に気がつかない場合があります。）
  などが原因で、妊娠に気づかない方もいます。

ピルを飲んでいると、妊娠の可能性はかなり低くなりますが、0ではありません。

また、飲み忘れや体調不良などが影響して、避妊率が下がる場合もあります。
ピルを飲んでいても、妊娠に気がつくように生理周期の確認をして、自己管理することが必要です。

理想的な経口避妊薬（低用量ピル）を使用していても、0.6～0.8%の確率で妊娠の可能性があります。コンドームを使用した場合の妊娠率は2～15%ですから、ピルはコンドームよりもかなり高い働きが期待できます。

しかし、以下のようなケースでは、ピルの効果が下がってしまうことがあります。

ピルの避妊効果が下がってしまう例

ピルを服用していても妊娠してしまう可能性はあります。特に、

• 飲み忘れがあった
• 下痢や嘔吐の症状がある
• ピルの効果を下げる薬を服用している

という場合は、ピルの避妊効果が下がってしまいます。

飲み忘れの後

飲み忘れの期間が長ければ長いほど、妊娠の可能性は高くなります。
薬の継続的な働きが途切れるため、飲み忘れがあると妊娠率は上がります。

妊娠を望まないのに、飲み忘れがあるときに性行為を行う場合は、他の避妊法を同時に実施しましょう。
それでも100%妊娠を避けることはできません。できれば性行為を避けましょう。

下痢や嘔吐の後

体調不良や何らかの感染などで、嘔吐や下痢が24時間以上続いている場合は、避妊の働きが弱まるとされています。
薬の成分が体内にとどまらずに排出されている可能性があるためです。

性行為を避けるか、コンドームなどの別の避妊方法を実施しましょう。
避妊率がどれくらい下がるのかは定かではありません。

ピルの効果を下げる薬を服用している場合

薬の副作用で、ピルの効果を下げるものを飲んでいるときは、ピルを服薬していても妊娠することがあります。
抗生物質の「ペニシリン系」と「テトラサイクリン系」は、ピルの効果を下げることがあります。病院で治療を受けるときにはピルの服用を伝えましょう。

また、セントジョーンズワートというハーブを使ったサプリメントもピルの働きを下げますので注意しましょう。
避妊率がどれくらい下がるのかは、体質や飲み方によって異なります。

ピルを飲んでいても、上記のことから妊娠してしまう可能性はあります。妊娠にすぐに気がつくように、生理周期の確認をして自己管理することが必要です。

「1週間たっても生理がこない」ときは必ず受診を

ピルを飲んでいますが、生理がきません。
いつ病院へ行く判断したらいいでしょうか？

生理開始予定日から1週間たっても生理がこない場合は、病院で診察を受けましょう。

妊娠でなくとも、体の不調の場合もあるので、一度診察を受けましょう。
妊娠しているとした場合、妊娠が確認できるのは、生理開始予定日から1、2週間後です。そのタイミングで受診するのがいいでしょう。

適切な時期に病院を受診しないと…

• 妊娠していた場合、妊娠週によっては、出産しか選べない場合がある
• 異常妊娠の場合、発見が遅れると胎児への障害や母体への負担がかかる
• 病気があった場合、症状が進行してしまう

などのリスクがあります。

早めに病院で確認をしておきましょう。