2歳児の人見知りと発達障害の関係。人見知りは成長のサインってホント？

2歳児の人見知りが激しい…。
発達障害の可能性はある？

「2歳児の人見知りと発達障害の関係」について、お医者さんに聞きました。
2歳頃に人見知りをする理由や発達障害を持つ2歳児の特徴についても解説します。

監修者

高座渋谷つばさクリニック

院長
武井 智昭 先生

経歴

公益社団法人 日本小児科学会　小児科専門医

2002年　慶應義塾大学医学部を卒業
2002年　慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年　立川共済病院勤務
2005年　平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年　北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年　横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年　「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年　「高座渋谷つばさクリニック」院長就任

2歳児の人見知りと発達障害の関係

うちの2歳の子どもが、他の子に比べて人見知りが激しいように感じます。人見知りは「発達障害のサイン」と聞いて心配です。
本当でしょうか？

人見知りが激しいからといって、一概に発達障害とは言えません。

発達障害には、

• 慣れていないものすべてを拒否し、人見知りが強い傾向が出る
• 他者に興味が薄く人見知りはしないものの、誰にでも同じように接する

など色々なパターンがあります。
「人見知り」ということだけでは、発達障害とは判断できないのです。

2歳児の人見知りの原因

これくらいの年代で人見知りするのは、その子どもの持って生まれた特質によるところが大きいです。

また、2歳頃は脳の成長に伴い、対人関係における認知力が高まる時期です。
見たり、会ったりした記憶がない人への不安・警戒心・恐怖心から、“人見知り”という行動をとりやすいです。
同じ人に何度も会って覚えていけば、その人に対して人見知りをしなくなることが多いです。

人見知りは“心と身体の成長サイン”！

2歳児の人見知りは、

• 心が育ってきた
• 記憶力が上がってきた
• 身体機能が発達してきた

この3つを示すサインと言えます。

①「心が育ってきた」サイン

見たことないものや人に対して、「怖い」「わからない」などの恐怖心や、「不安」などを覚えるという面で、心や精神面が発達している証拠です。

認知力が上がって、知っているものと知らないものが区別できるようになるため、人見知りをします。

② 「記憶力が上がってきた」サイン

脳が発達し、記憶として、人の顔や体などを覚えている証拠です。

ママやパパだけでなく、よく会う人の顔も覚えるため、知っている人であれば、基本的には拒絶反応を起こしません。
さらに記憶力が上がってくると、言語理解や他者とのコミュニケーションが見られるようになってきます。

③ 「身体機能が発達してきた」サイン

体の様々な機能が発達して、目で見たもの・触った感覚・声などから自分とは別のものを認識できるようになります。

色々なものに興味を持ち、触るようになります。声だけで、知っている人がわかることが多くなります。
そのため、

• 見たことがないもの
• 触ったことがないもの
• かいだことのない匂い
• 聞いたことのない声や音

などに恐怖を感じるようになり、人見知りにつながります。

発達障害を持つ2歳児の特徴

①　泣くとなかなか泣き止まない

発達障害がある子どもは、心の切り替わりがゆっくりで、泣き出すといつまでも泣きやまないことが多いです。

特に、「洋服は同じものを着る」「外食で同じメニューばかり食べる」など、こだわりを持つことを遮断されると、気持ちを持ち直すことが難しいです。

②　目が合わないことが多い・あまり笑わない

発達障害の中には、他者とのコミュニケーションをとらず、「目が合わない」「笑顔が少ない」というケースもあります。

具体的には、

• 目を合わせて話せない
• 手をつなぐことができない
• 抱っこを嫌がる
• 一人遊びが好き

などの様子がみられます。

③　言葉が少ない・出るのが遅い・理解が遅い

発達障害があると、言葉を発することが少なく、発してもなかなか意味のある言葉にならない子もいます。
何度繰り返しても、覚えられる言葉が少ないという場合もあります。

また、他の子に比べて、言葉が出るのが遅い傾向があります。
繰り返し教えても理解していないので、意思疎通ができた感覚がありません。

④　人の動作・言葉の真似をしない

2歳くらいの子どもは、大人の真似事を始める時期です。
しかし、他者に興味が出ない場合、真似事をおこないません。

例えば、指差しをする際に、自分が指を動かすのではなく、相手の手を動かすことで物事を進めようとします。（クレーン現象）
また、他にも「目で人を追わない」「親の目線の先を見ない」という傾向があります。

⑤　物への興味が強い・こだわりが強い

「ずっと同じ物を見てその場から離れない」「自分で決めているルールを達成できないと癇癪を起こす」などの特徴があります。

例えば、

• 長い時間電車を見ていて、親が連れて行こうとする
• 自分で着替えをしたいのにうまくできない

などの場面で、激しい癇癪を起こしたりします。
また、いつもは家にいる時間帯に外出するなど、スケジュールが崩れることを嫌がります。

⑥　他の子に比べて、極端に落ち着きがない、過度におとなしい

発達障害の子は、同年代の子に比べて、落ち着きがない、座っていられないなどの特徴があります。

具体的には、急に飛び出す、走り出すなどの行動が目立ちます。
また、周囲への興味がないのでおとなしいこともあります。

⑦　他人と関わろうとせず、ひとりで過ごす時間が長い

発達障害の子は自分のルールがあるため、他人と一緒になるとルーティンが崩され、パニック・癇癪を起こすことがあります。その為、ひとりで遊ぶことが多くあります。

ひとりで遊ぶことが楽しくて落ち着くので、他人が遊びに加わることを嫌う傾向にあります。

合わせて読みたい

発達障害の赤ちゃんの特徴｜手がかからない？いつわかる？【医師監修】

2022-04-01

子どもに発達障害がある場合、早めにケアしたいですよね。発達障害のある赤ちゃん（0歳～1歳）の特徴として考えられているものを、お医者さ...

続きを読む

「発達障害かも」と不安になっているママ・パパへ

人見知りするというのは、その子どもが持つ個性であることがほとんどです。
そのため、2歳の段階で、発達障害について過剰に心配する必要はありません。

今は成長をゆっくりと見守ってあげましょう。