【医師監修】気を付けて！妊娠初期の流産しやすい行動。早期流産しないための注意

妊娠初期に流産しやすいって本当？
流産しやすい人の特徴はある？

「妊娠初期に流産しやすい理由」をお医者さんに聞きました。

流産の原因や、流産しやすい行動などもご紹介します。

監修者

ロイヤルベルクリニック

浅野 仁覚 先生

経歴

【資格】
医学博士
公益社団法人　日本産科婦人科学会　産婦人科専門医

【略歴】
平成10年 福島県立医科大学医学部 卒業
社会保険二本松病院
南相馬市立総合病院
福島県立医科大学附属病院
東府中病院

著書：切迫早産、先天性サイトメガロウイルス感染症、子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術など

妊娠初期は流産しやすい？妊娠初期の体の状態

妊娠初期は、流産が多いと言えます。
流産を経験した妊婦さんの8割程度が、妊娠12週未満で起こる「早期流産」です。
妊娠3ヶ月くらいまでの妊婦健診で、流産が判明することが多いです。

妊娠初期にどんな体の状態だと流産の危険が高い？

妊娠初期の流産は、赤ちゃんの染色体異常の場合が多いです。
そうした受精卵は、正常に育つことができないので、母体の状態に関わらず、多くは流産してしまいます。

妊娠初期はどのようなことに気を付けたらいい？

妊娠中は、赤ちゃんを受け入れるために免疫力をわざと低下させます（免疫寛容）。
感染症にかかりやすくなるため、

• 手洗い
• うがい
• マスク着用

など、感染予防をおこないましょう。
妊娠中でもできる予防接種をしていただくと、さらに安心です。

また、妊娠初期はつわりがあると思います。

つわりで食べられなくても赤ちゃんはしっかり成長するので、過度に不安になる必要はありません。

食べられるものを自分のペースで食べることが大事です。

「早期流産」って何？なんで妊娠初期は流産しやすいの？

早期流産は、妊娠12週未満でおこる流産のことです。

多くは染色体異常が原因で、お母さんの行動などが影響したわけではありません。

受精卵の段階で育つことができないと決まってしまっているので、何かに気をつけなければならない、ということはありません。

早期流産してしまうケース

お母さんの年齢が高いほど、流産の可能性は高まります。
20代の妊娠では10％程度ですが、40代の妊娠では40％以上の方が流産してしまうことがわかっています。

気を付けよう！実は流産しやすい行動

妊娠初期の流産はお母さんの注意ではほとんど避けられませんが、妊娠期間を通して流産の危険が高まる行動もあるので、参考にしてくださいね。

不正出血がある時に体への負担がかかる行動

体がぶつかるような激しいスポーツや、重いものを持ったりなど腹圧のかかる仕事などは、なるべく控えましょう。

メンタルへの負担がある行動

気分の落ち込み、精神的なストレスがかかることで、自律神経が活発になり、子宮をはじめとした全身の血管が収縮します。これにより、流産や早産のリスクが高まる場合もあります。

あまり深刻に考えすぎず、リラックスして自律神経を整えましょう。

先生教えて！この行動って大丈夫？Q&A

妊娠前から飲んでいる市販薬。続けて飲んでも大丈夫？

痛み止めは妊娠初期でも比較的安全に使えることが多いですが、妊娠中は控えた方がいい成分もあります。
自己判断せず、かかりつけ医に相談しましょう。

飲んでOKなことが多いもの

便秘に悩まされる妊婦さんは多いですが、「酸化マグネシウム」という成分は、比較的安全に使える下剤です。

飲むのをやめた方がいいもの

便秘に効く漢方薬 には 「大黄（ダイオウ）」という成分が 入っていることがあり、子宮を収縮させる作用があるため、使用を控えましょう。

飲むときに注意が必要なもの

センノシドやラキソベロンなど、大腸刺激性下剤と呼ばれる種類の便秘に効く薬 は、大量に内服すると子宮を収縮させる可能性があるため、かかりつけ医の指示した用法容量を守って飲みましょう。

栄養補助のために飲んでいたサプリメント。続けて飲んでも大丈夫？

サプリメントは、妊娠中でも続けて飲んで大丈夫なものが多いです。

• 葉酸
• カルシウム
• 鉄

などの栄養素は、特に妊娠中は必要量が増えるので、容量をきちんと守って積極的に摂ることをおすすめします。

心配な方は妊婦用サプリメントを選んで飲むと良いでしょう。

＼編集部のおすすめはこれ！摂りたい栄養素／
ベルタの葉酸サプリ

飲むのをやめた方が良い栄養素・サプリメントはある？

脂溶性ビタミンの1つであるビタミンAは、摂りすぎると形態異常につながるため注意が必要です。

基本的に、妊娠中の市販薬やサプリメントは用法容量を守らないと逆に悪影響を及ぼすことがあります。

どんな薬でも、まずはかかりつけ医へ相談してから摂取しましょう。

暑がりだから、体を温める格好や腹巻などをしません。平気？

妊娠中に体を冷やしてはいけないというのは、

• お腹の張り
• 便秘
• 腰痛

等の、マイナートラブルが増える可能性があるためです。
そういった症状が出ないのであれば、暑いのを無理してまで暖かい格好をしなくてもいいでしょう。

暑がりの人でもできる対処法を教えて！

冷えや張りを感じた場合には、お腹周りだけでもカーディガンなどをかけ、温かくするようにしましょう。

体を冷やしているとマイナートラブルが増える可能性があるため、自分の体調に変化がないか確認するようにしましょう。

どうしても夜更かしがやめられない！早寝しないとダメ？

睡眠時間が短いからといって流産のリスクが高まることはありません。
妊娠中はお腹が張ったり、重くて苦しかったり、赤ちゃんの胎動があったりで寝不足になる妊婦さんが多いです。

ただし、夜更かしや寝不足は自律神経のバランスを乱すので、便秘や肩こり、疲れの原因になります。

もし寝付けないとしても、部屋を暗くして布団に入り、体を休めることを意識しましょう。

立ち仕事が多い職種。続けて大丈夫？

母体が健康で、つらさがないのであれば、立ち仕事を続けても問題ありません。

ただし、妊娠中には、お腹の張りがつらかった、腰痛やむくみがひどくなったと答える方が多いことから、職場との調整が大切です。

こんなケースは要注意

子宮頸がんの前段階（前がん病変）で手術を受けたことがあり、子宮の入口の長さが短縮している方は、流産よりもむしろ 早産のリスクが高くなっています。長時間の立ち仕事には注意した方がよいでしょう。

立ち仕事で胎児に負担をかけない対処法

こまめに座ったり、横になったりする時間をとりましょう。

60分の昼休憩がある職場だとした場合、午前中に10分、昼休憩に40分、午後に10分と分けて休憩をとらせてもらうなど、交渉してみてはどうでしょうか。

兆候はある？「流産しているかも」と気になったら確認すること

• おりものに血が混じる
• 生理2日目くらいの出血がある
• 出血にレバーのような塊がある
• 下腹部に生理痛のようなキリキリとした痛みがある
•  1時間以上安静にしていても下腹部の張り・痛みがおさまらない

などの様子が見られると、流産のリスクがあります。

様子を見たり我慢したりせず、すぐにかかりつけ医や産婦人科に連絡してください。

合わせて読みたい

妊婦が食べてはいけないもの！NG食べ物・飲み物一覧【管理栄養士監修】

2019-11-25

妊娠中、生ものなど食べ物に気をつけたほうがいいの？飲み過ぎてはいけない飲み物はある？妊娠中は摂取量によっては、母体や胎児に悪影響を...

続きを読む

合わせて読みたい

妊娠初期にやってはいけない姿勢って？正しい体勢を身につけよう

2022-10-27

妊娠初期にやってはいけない姿勢って？どんな姿勢ならいいの？妊娠初期に「やってはいけない姿勢」について、お医者さんに聞きました。立っ...

続きを読む

この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。