なぜ？「歯が生えるのが遅い」原因。発達障害・栄養不足と関係ある？受診の目安は？

子どもの歯が生えるのが遅いのは、どんな理由が考えられるのでしょうか？
考えられる原因を歯医者さんがお答えします。

「栄養不足」や「発達障害」だと歯が生えるのが遅くなるのは本当なのか、一般的に月齢が何か月になったら歯が生え始めるのか、なども解説していきます。

「歯が生えるのが遅い」理由

歯が生えるのが遅くなる理由には、早産や低体重などがあります。

また、もともとの体質や胎児の頃に受けた母体からの影響、胎盤の状態などが複数重なって起きると考えられます。

お腹の中で発育が十分に行われていない状態で生まれると、臓器などが未発達なので栄養吸収がゆっくりとなります。

それに伴い、発育もゆっくりとなる傾向があります。

「栄養不足だと歯が生えるのが遅い」→ウソ？ホント？

栄養が不足すれば、歯の育成もゆっくりとなるので、どちらかというと遅くなると言えます。
しかし、これらは個人差があるので一概に言い切ることはできません。

臓器や脳、皮膚などと同様に、歯も胎児の頃に形成が行われます。

栄養不足が起きると、全てを形成することができなくなり、未熟な臓器先天性の疾患などを持ってしまうこともあります。

歯の場合は、欠損やエナメル質が弱い歯を持って生まれてしまうことがあります。

「妊娠中の栄養状態と関係している」→ウソ？ホント？

たしかに、妊娠中の母体の栄養不足は、子どもの歯の発達の遅れの一つの理由としては考えられます。
しかし、一時的な栄養状態の偏り程度では、子どもの体に大きな影響があるとは考えにくいです。

また、母体の栄養だけが原因ではなく、個体差・胎盤の状態なども複雑に絡み合っているので、一概に「栄養状態だけが原因だった」とは考えにくいです。

しかし、妊娠中の母体の状態が胎児に与える影響はあるので、栄養が届きにくくなる喫煙・アルコール摂取などは控えることは大切です。

「発達障害だと歯が生えるのが遅い」→ウソ？ホント？

歯の生える速さで、一概に発達障害だと決めつけることはできません。
発達障害のような特徴を持っている子どもでも、体の発達や歯の生えるスピードが早いことも遅いこともあります。

また、発達障害、知的障害は赤ちゃんの頃にはわからないことがほとんどです。

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「歯が生えるのも遅いと身長が低い」→ウソ？ホント？

歯の生えるスピードや身長は、個人差の幅が大きいです。
病気の影響などがない場合は、一概にこれらが関連しているとは言えません。

出産時の低体重や早産などが影響している場合は、歯が生えるスピードが遅めであることと、身長の伸びがゆっくりであることが関連していることも考えられます。

受診目安は「月齢18ヶ月くらいなっても歯が生えなかったら」

1歳半頃になっても1本も生えていない、もしくは生える兆しがない場合は一度、歯科に相談してみましょう。

乳歯が生えてくる平均的な月齢は、6ヶ月〜10ヶ月くらいです。
比較的遅い子の場合は、１歳〜１歳半頃までに生えてくることが多いです。

1歳〜1歳半頃までに１本でも歯が生えてきていれば、3歳頃までに乳歯が生え揃います。

1歳半頃までに歯が1本も生えてこない場合は、乳歯がもともと少ない発育不全の可能性があります。

歯の本数が少ないのまま放置すると、顎の発達や発語への影響などが出てくる可能性があります。

“歯が生えてくる前兆”があれば、もう少し様子をみても大丈夫

「歯が生えてくる前兆」には、以下のようなものがあります。

• 歯茎が膨らんできている
• 歯茎が赤っぽい色になる
• 歯茎から少し出血している
• よだれの量が増えてきた
• 手をすぐに口に入れる
• おもちゃなどの色んなものを噛む
• 頻繁にぐずるようになった（歯ぐずり）

上記のような「歯が生えてくる前兆」が見られる場合は、もうしばらく様子を見ましょう。
なお、最初は下の前歯2本から生えることが多いです。

離乳食は進めてもいい？

歯が生えるのが遅れているのですが、離乳食をすすめてもいいでしょうか？それとも歯が生えるのを待った方がいいでしょうか？

離乳食は、「顎の形成」や「口の動かし方」の訓練でもあるので、歯が生えていなくても月齢に合わせて進めましょう。

基本的に、離乳食では月齢に合わせた歯茎で潰せる硬さのものを与えます。

そもそも、歯が生えてくるスピードと離乳食の進行具合は、あまり合致することがありません。

言葉の発達に影響しないか心配…

赤ちゃんの時期に歯が生えるのが遅くても、通常は言葉の発達には影響しません。

子どもは3歳頃になると言葉が増えます。発語のために顎が育っていくのも、この時期からです。

歯が生えるのが遅い子でも、ほとんど場合は3歳頃までに乳歯は生え揃います。

乳歯が生えてくるのが遅い「病気」の例

乳歯が生えてくるのが遅い原因としては、

• 乳歯萌出遅延
• 乳歯の先天性欠如

が考えられます。

原因①　乳歯萌出遅延

「乳歯萌出遅延」とは、乳歯が生えてこない状態です。

この状態を引き起こす要因としては、「くる病」、「先天性甲状腺機能低下症」などの全身疾患、または乳歯がもともと少ない「先天欠如」といったものが考えられます。

これらの病気かどうかは、1歳〜2歳頃にわかります。

永久歯への影響は？

乳歯萌出遅延により、

• 永久歯が欠損する
• 永久歯が生えてくる本数が少なくなる
• 永久歯がところどころ生えてこない

などの影響が出ることがあります。

歯並びへの影響は？

欠損があると、歯並びは崩れやすくなります。
すきっ歯、歯列の崩れなどが見られます。

歯科での治療方法

歯科では、

• 歯列矯正
• 生えている歯を活用した「ブリッジ」
• 「入れ歯」を作って入れる
• 「インプラント」を行う

など、様々な治療方法があります。

原因②　乳歯の先天性欠如

「乳歯の先天性欠如」とは、もともと乳歯が作られない、欠如している状態です。

先天性欠如かどうかは、1歳半以降に乳歯が生えてこないことにより判断できます。

永久歯への影響は？

病気ではなく形成異常なので、引き続きそのあとの永久歯も生えないとは言い切れません。
永久歯が作られている場合もあります。

歯並びへの影響は？

永久歯が生えてくる本数が少ない場合は、

• 歯並びが崩れる
• すきっ歯になる

などの影響があります。

歯科での治療方法

乳歯萌出遅延の場合と同様、歯科では、

• 歯列矯正
• 生えている歯を活用した「ブリッジ」
• 「入れ歯」を作って入れる
• 「インプラント」を行う

など、様々な治療方法があります。

1歳半を過ぎても歯が生えてこなかったら歯科へ！

1歳半を過ぎても生えてくる兆候がない場合は、一度、歯科に相談しましょう。

離乳食も進んでいる1歳半くらいになると、歯茎の発育も進み、異常の有無もわかりやすくなります。

歯医者ではどんな検査をする？

歯医者では、

• 歯茎を見る
• 歯茎を直接触る
• レントゲン撮影する

といった検査を行います。

受診時に伝えておくとよいこと

受診時には、子どもの普段の様子を伝えましょう。

• 歯茎を痒がる
• 歯茎を触りたがる
• ものを噛みたがる

などの動作があるかまとめておいて、医師に伝えましょう。

また、遺伝的に歯が欠損している可能性があるかわかる場合は、それも医師に伝えてください。

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