子どもを伸ばす「叱り方」ダメな怒り方&叱りすぎた後のフォローの仕方

子どもを伸ばす「叱り方」ダメな怒り方&叱りすぎた後のフォローの仕方

公開日:2020-02-28 | 更新日:2022-09-02

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子どものことをうまく叱れない…。
つい感情的に怒ってしまう。

そんなお悩みをもつママ・パパへ「子どもを伸ばす叱り方」を紹介します。
先輩ママ・パパ50人に聞いた「アフターフォローの仕方」も必読です。

坂野 真理 先生

監修者

虹の森クリニック

院長
坂野 真理 先生

経歴

日本精神神経学会認定 精神科専門医

日本医科大学医学部卒
東京大学医学部附属病院小児科及びこころの発達診療部、医療福祉センター倉吉病院精神科等を経て、英国キングスカレッジロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所(IoPPN)にて修士号取得
2018年 虹の森クリニック(児童精神科・精神科)開業
2020年 虹の森センターロンドン開設。日英両国において子どものこころに関する診療および情報発信を行っている。

どんなときは、叱るべき?

怒っているママ

どんな状況のときは、子どもを叱るべき?
先輩ママ・パパに叱る場面を聞いてみると…。

危険なことをしたとき

ママ
怪我をする恐れがあったり、命の危険をさらすようなことをしたら叱るようにしています。駐車場でふざけたり、道路に飛び出したりしたときです。
(3歳の男の子のママ)

「命の大切さ」を子どもに理解してもらいという思いから叱るというママ・パパが多数いました。

他人を傷つけたとき

ママ
相手をたたくなど傷つけたり、また傷つけるような言葉を言ったとき。
(4歳と小学1年生の女の子のママ)

お友達に手をあげたとき、言葉の暴力をふるったときにはきちんと叱るというママ・パパもいました。

弱いものいじめをしたとき

パパ
自分より小さい子や動物をわざといじめようとしたときは叱るべきだと思います。
(5歳の女の子のパパ)

自分より弱いものには優しくするということを教えるために叱るという声がありました。

【年齢別】叱り方のコツ

先生(女性)
叱り方を考える前に、まずは「叱ることが本当に必要かどうか」を考えることが大切です。

ペアレンティング研究においては、「叱る」ことは決して子どもの行動を改善するために必須ではないことが分かっています。

例えば、「良くない行動を叱る」前に、「良い行動をほめる」ことがどれくらい多く日ごろから実践されているのかによって、良くない行動を改善する効果が出るかどうかが変わってきます。そして、どんな年代でも、子どもが良い行動がとれたらすぐに褒めることが大事です!

例えば、

  1. 子どもの良い行動を認める
  2. 子どもを褒める機会を増やす
  3. 事前に“良い行動とはどんな行動か”を伝える
  4. 明確なルールを設定する(例:宿題をしたら遊んでもOK)

などで、叱らなければならない機会は非常に少なくなります。

1~3歳の子どもの叱り方

先生(女性)
子どもが1歳~3歳の場合は、叱る効果にはほとんど乏しいといわれています。
そのため、叱るのではなく、「どのようにしたらよいか」の行動の見本を親が示してあげるとよいでしょう。

例えば、友達を叩いてしまった時は、「ごめんなさい」と相手にあやまって見せてあげること。叩くきっかけになった出来事がおもちゃの取り合いだったのであれば、「じゅんばんだよ」と、順番に交代して遊ぶ手本を見せることなどです。
良くない行動が出そうになった時には、言葉ではなく、大人が行動で防ぐことも必要です。
例えば、取り合いになっているおもちゃを大人がいったん預かり、順番で遊ぶことを教えながら渡すなどです。

4~5歳の子どもの叱り方

先生(女性)
4~5歳の子どもに対しても、叱ることは最低限にした方がよいでしょう。
叱るだけではなく、子どものまわりの人の行動の良いところを探し、褒めてみるとよいでしょう。

4~5歳の子どもは、徐々に他のお子さんとの関係性ができる時期です。親が見本になるだけでなく、近い年齢のお子さんの良い行動も見本になります。「〇〇ちゃんは、~~ができてえらいな~」と他の子のいい行動をお子さんの目の前で褒めてみるのも効果があるかもしれませんね。

自分で考えられるお子さんについては、徐々に自分で考える力を促すことも必要です。
ただし、この年代でも、実際の年齢に関わらず、発達レベルにはかなりの個人差があるので、すべて子ども任せで考えさせるのも難しいところです。

小学生の子どもの叱り方

先生(女性)
子どもの発達年齢に応じて、次第に「とるべき行動を自分で考える」ように促してあげましょう。

その時はダメだったとしても、次回似た場面になったときにとるべき行動がとれたらOKですね。

そして、良くない行動には良くない結果も待っているということも知らせてあげましょう。
もし何度も良くない行動を繰り返してしまうようであれば、事前に話し合い、「~したら~ができる」といった明確なルールを決めましょう。
例えば、「宿題をしたら遊べる」などです。この方法であれば、叱らなくても、「宿題をしなかったら遊べない」という「結果」が待っているので、叱る必要はありません。

子どもを伸ばす叱り方

会話する

「子どもにうまく注意ができない…。」
「子どもの成長につながる叱り方がしたい!」

そんなママ・パパのために「子どもを伸ばす叱り方」を紹介します。

STEP1.子どもの言い分を聞く

まずはじめは「子どもが悪いと決めつけない」ことが大事です。

ママ
頭ごなしに叱るのではなく、まずは子どもの言い分を否定しないで聞いてあげる
(中学2年生の男の子のママ)

大人が「なんでそんなことするの!」と思うような行動でも、子どもにとっては「自分なりの理由」があることもあります。

子どもの話は「そういう風に考えていたんだね」と肯定しながら聞いてあげましょう。時間がかかっても、根気強く聞いてあげることが大切です。

STEP2.子ども自身に考えさせる

パパ
なんで怒られたのかを考えさせると良いと思います。
考えさせて、こちら側と考えが違えばその違いを教えてあげれば良いと思います。
(3歳と小学2年生の女の子のパパ)

STEP3.叱った理由を具体的に説明する

ママ
なぜダメなのか理由を具体的に説明します。
例えば危険なことをしたときは、それがなぜ危ないのか、それを続けるとどういう怪我をするのか、そして怪我をすると何ができなくなるのか教えます。なぜダメかしっかり理解できていると繰り返さなくなります。
(1歳と6歳の男の子のママ)

子どもにわかりやすい言葉をつかって、ダメな理由を説明してあげましょう。

STEP4.「どうすればよかったか」を一緒に考える

ママ
「これからどうしたらよいと思うか?」または、「どうすれば同じ事を繰り返さないと思うか?」を考えて、話してもらいます。
(小学2年生の男の子と中学1年生の女の子のママ)

「次からは~するといいね」など、次につながるような話をしましょう。

STEP5.フォローを忘れずに

パパ
叱った後にはしっかりとフォローし、その行為に対して叱ったのであって、子ども自身を否定したわけではないと伝えることが大切だと思います。
(1歳と5歳の男の子のパパ)

ハグなどのスキンシップをとる、「大好きだよ」と言葉で伝えるなど、叱った後のフォローも忘れずにしましょう。

やってはいけないダメな叱り方

叱る

先生(女性)
  • 怒鳴る・叫ぶなどの叱り方
  • 本人の性格を否定するような言い方をする
などの叱り方は避けましょう。

叱ってばかりでは親も辛いですよね。叱っても子どもの行動がよくならないと余計に親の方も音量が高くなっていく・・・ということもよくありますよね。

ただ、怒鳴る、叫ぶなどの叱り方は、「親のイライラを子どもにぶつけているだけ」という状態になってしまいます。お子さんには親の怖い表情だけが記憶に残り、良い行動を学ぼうという機会が少なくなってしまいます。
そして、「イライラしたら怒ればいい」「相手が言うことを聞かなかったら怒って言うことを聞かせればいい」という行動パターンを学ぶだけになってしまう可能性があります。

また、「こんなこともできないなんてダメね」「赤ちゃんじゃないんだから」といった本人の性格を否定するような言い方は避けましょう。非難しているだけで、どのような行動を取ったらよかったのか本人が理解できません。

「今、〇〇ちゃんを叩いてしまったのは悪いことだよ」と、具体的にどこがよくなかったのかを伝え、どうしたら良かったのかを伝えるようにしましょう。

先輩ママ・パパにもやってはいけないと思う「NGな叱り方」を聞いてみました。

頭ごなしに叱る

パパ
やる事なす事を、全て頭ごなしに怒るのはいけないと思う。子どもにも考えがあるので、聞いてあげないといけない
(2歳の女の子のパパ)

子どもがやったことをすべて否定してしまうと、子どもが自分の感情を出しにくくなってしまうことも。

他の子どもと比較する

ママ
他の子どもと比べるような叱り方は、子供に嫌な思いをさせるだけで、状況は改善しないと思います。
(小学5年生の女の子のママ)

人格を否定する

ママ
子どもの人格を否定するのではなく、行為を叱ります。さらに、なぜそんなことをするのか追求もしすぎません。
(2歳の女の子のママ)

叱るポイントに一貫性がない

ママ
いつもなら怒らないことで怒ったりすることは、一貫性がなくて子供が混乱すると思うからやってはいけないことだと思う。
(4歳と6歳の男の子のママ)

その時の気分によって叱ったり、叱らなかったりすると、子どもも何がダメなことかわからなくなってしまいます。

叱りすぎた後のフォローの仕方

ハグ

「子どもを叱りすぎてしまった…。」
「つい子どもを叩いてしまった…。」

そんなときはアフターフォローをすることが重要です。
先輩ママ・パパに「アフターフォローの方法」を聞いてみました。

素直に謝る

ママ
叱りすぎたと思ったら、率直に「叱りすぎてごめんね」と謝ればいいと思います。
(小学3年生の女の子のママ)

たくさんスキンシップをとる

ママ
ぎゅっと抱きしめる、頭を撫でるなどで、愛情がたくさんあるんだよということを伝える。
(2歳の男の子のママ)

ママ・パパのほうからスキンシップを積極的にとってあげましょう。

言葉で愛情を伝える

ママ
ママはあなたのことが大好きで大切だと伝える。
(小学3年生の女の子のママ)

言葉にして伝えることで、子どもも「嫌われたわけじゃないんだ」と安心できます。

子どもを伸ばす叱り方をして、ママ・パパも子どもと一緒に成長していけたらいいですね。

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