妊婦のインフルエンザ予防接種、胎児への影響は?いつから?【医師監修】

妊婦のインフルエンザ予防接種、胎児への影響は?いつから?【医師監修】

公開日:2019-09-25 | 更新日:2022-05-16

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妊娠中にインフルエンザになったら、重篤化する危険が高まり、胎児に影響を及ぼすこともあります。

インフルエンザの予防接種は10月ごろからスタート。
「妊婦さんの予防接種の受け方」や、予防接種を受ける「胎児のメリット」をお医者さんが解説します。

石野 博嗣 先生

監修医

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長

妊娠中のインフルエンザの予防接種

妊婦さんが「いつから」「どこで」予防接種をうけられるのか解説します。

妊娠中でも受けられる?

先生(男性)
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンを使用しているので、妊娠週に関係なく、いつでも接種可能です。

いつうける?

先生(男性)
11月〜12月初めまでにはインフルエンザワクチンを接種していると良いでしょう。

通常、12月〜3月末ごろまで、インフルエンザの流行が見られます。インフルエンザワクチンは、接種後、個人差はありますが2~3週間前後で抗体がつきます。その後、3~4ヶ月ほどワクチンの働きが持続します。

どこでうける?

先生(男性)
インフルエンザワクチンを取り扱っている病院で受けられます。

※注射を受ける場合は、必ず妊娠中である旨を伝えてください。

受付予約できる病院を探す

何回うける?

先生(男性)
13歳以上は、インフルエンザワクチンは、1度の接種となります。

注意事項

先生(男性)
体調が悪いときにワクチンを接種しても抗体がつかない場合があります。

インフルエンザワクチンは、体調の良い日に接種を受けるように調整しましょう。

予防接種の胎児への影響

赤ちゃん

先生(男性)
インフルエンザワクチンによる先天性異常や胎児の奇形児リスク、流産のリスクといった影響はないと報告されています。

胎児のメリットも

先生(男性)
インフルエンザワクチンを接種すると、ママの体に抗体ができます。

実は、この抗体は胎盤を通って胎児にも移行するとわかっています。

インフルエンザワクチンを接種したママの赤ちゃんは、産まれた後も半年ほど、この抗体が働き、インフルエンザに感染しにくいというメリットがあります。

生後6ヶ月未満の赤ちゃんはインフルエンザワクチンを打てないので、ママから抗体をもらっておけば心強いですね。

予防接種の副作用

先生(男性)
インフルエンザワクチンは、副作用の少ないワクチンではありますが、副作用が出る場合もあります。

接種箇所の赤み、腫れ、痛み、発熱、頭痛、悪寒、下痢、だるさやワクチンに対するアレルギー反応で、じんましんやかゆみが現れる場合もあります。じんましんは、通常数時間でおさまり、他の症状も2〜3日でほぼなくなります。

他にも稀にめまい、嘔吐、吐き気、一時的な意識障害、動悸、けいれん、筋力低下などが現れたという報告もあります。接種後にこのような体調に変化があった場合は、病院を受診しましょう。

妊娠中にインフルエンザになったらどうなる?

病気

免疫が低下している妊娠中は、通常の風邪でも、長引く場合があります。インフルエンザは風邪よりもはるかに症状の重い病気です。

先生(男性)
インフルエンザは、免疫の弱い人が感染すると肺炎や脳症といった重い後遺症を残す場合があります。妊婦は、とくに感染を防ぐ必要があるのです。

重篤化の危険

妊娠中にインフルエンザにかかれば、多くの症状に耐えなければならなくなります。高熱、激しい咳、全身の痛み、倦怠感、頭痛などの症状が現れます。

妊婦がインフルエンザにかかってしまった場合、心肺機能が悪化し入院する危険性は産後と比較しても妊娠14~20週では1.4倍、妊娠27~31週では2.6倍、妊娠37~42週では4.7倍となり、妊娠週数に応じて増加します。

胎児への影響

妊婦がインフルエンザに感染してしまうと、自然流産、早産、低出生体重児、不当軽量児(在胎週数から予測される体重より体重が少ない児)、胎児死亡の増加が認められています。

夫婦で予防接種をうけよう

先生(男性)
インフルエンザは感染力も非常に強く、空気感染や接触によっても感染します。マスクや手洗いの予防だけでは、防ぎきれない感染力を持っているのです。

感染力の強いインフルエンザウイルスA型・B型は大きな流行を起こします。

そのため、妊娠中にインフルエンザが流行る時期がかかる女性やその家族は、インフルエンザワクチンの投与が推奨されます。

参照
IDSC国立感染症研究所 感染症情報センター パンデミック(H1N1)2009 インフルエンザQ&A
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/QAFlu09.html#q23
産婦人科診療ガイドライン 産科編2017 公益社団法人 日本産科婦人科学会 公益社団法人 日本産婦人科医会

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