【医師監修】妊娠中にコンドームなしで性行為すると感染症になる？もし感染してしまったら…？

妊娠中にコンドームなしで性交渉すると感染症になる？

妊娠中にコンドームなしで性交渉をして感染症にかかったら危険な理由を医師に聞きました。

どのような感染症にかかるリスクがあるのか、感染症にかかってしまった後の対処法についても解説します。

監修者

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年　日本医科大学産婦人科教室入局　日本医科大学付属病院　産婦人科研修医
2001年　国立横須賀病院（現 横須賀市立うわまち病院） 産婦人科
2002年　東京都保健医療公社　東部地域病院　婦人科
2003年　日本医科大学付属病院　女性診療科・産科 助手代理
2004年　日本医科大学付属第二病院　女性診療科・産科　助手
現在　石野医院の副院長

妊娠中、コンドームなしの性行為は「感染症にかかる？」

妊娠中にコンドームなしで性行為をして、感染症にかかったら危険だと聞きました…。それは本当ですか？

はい、性感染症のリスクがあり、危険です。

特に妊娠中の女性は免疫が下がっているので、様々な感染症に感染しやすくなっています。

通常、膣の中では不要な菌を殺す力があります。しかし妊娠中はこの力も下がっており、性感染症にも感染しやすくなっています。

お腹の赤ちゃんにも影響する？

妊娠中に「クラミジア」「淋病」などの性感染症にかかると、胎児に影響することもあります。

母体は無事でも、胎児の早産・流産・先天性異常の原因を作ってしまう場合があります。

妊娠中の性行為でうつる感染症の例

妊娠中にコンドームをせずに性行為をした場合、以下のような感染症にかかる可能性があります。

感染症1.　クラミジア

性行為による感染や、感染者の病巣や病原体と直接接触することで感染し発症します。女性は、あまり症状が出ないこともあります。

クラミジアに感染し症状が進むと、早産・流産の原因となることがあります。

症状が少なく感染に気づかなかった場合、そのまま進行して子宮頸管炎や子宮内膜症の原因となってしまうこともあります。

また、不妊症、子宮外妊娠につながることもあります。

感染症2.　淋病

女性の場合、おりものの異常・不正出血などの症状がみられます。

症状が出ない女性もいます。

妊娠中に淋病に感染すると、早産の原因になったり、出産時に胎児に感染して赤ちゃんが「淋病性結膜炎」になってしまうおそれがあります。

感染症3.　梅毒

梅毒に感染すると、皮膚のただれやしこりができます。

症状が進むと発疹、倦怠感、発熱などが現れます。

さらに何十年も経ってから、脳や血管、心臓まで病気が進み死亡するリスクもあります。

妊娠中に梅毒に感染すると、胎児にまで影響が及び、「先天梅毒」に感染してしまうおそれがあります。

感染症4.　性器ヘルペス

性器ヘルペスは、感染力の非常に強いウイルス感染症です。

感染すると、皮膚に潰瘍、水疱ができます。

潰瘍がない場合でも、患部に触れることで感染します。妊婦が感染すると、産まれてくる赤ちゃんが新生児ヘルペスを発症します。

新生児ヘルペスは、赤ちゃんが死に至る可能性もある重篤な感染症です。

感染症5.　尖圭コンジローマ

尖圭（せんけい）コンジローマは、陰部や肛門部に感染します。子宮頸部や肛門に、小さく平らな「いぼ」ができます。

いぼは、

• 腟
• 外陰部
• 尿道
• 陰茎
• 肛門
• のど

などに発生します。

分娩時に尖圭コンジローマを発症していると、赤ちゃんが感染することがあります。赤ちゃんが感染すると、「若年性再発性呼吸乳頭腫症」を発症することがあります。

「性感染症になっているかも」と思ったら

定期健診を待たず、すぐに医療機関を受診して診察を受けましょう。

早期に治療が必要です。目に見える症状がなくても、放置していると胎児にまで影響が及ぶ可能性がありますので、少しでも心配な点がある場合はお医者さんに相談してみましょう。

コンドームをしていたとしても性行為には注意

コンドームをしても、性感染症を完全に防げるわけではありません。また、コンドームは正しく使用することが大切です。

コンドームは性行為の初めから着用してください。また、オーラルセックスでの感染は防げないので、オーラルセックスは避けましょう。

不安なときは性行為を断ろう

妊娠中は、お腹の赤ちゃんのことが優先で、「性行為をして何かあったらどうしよう」という不安からストレスにつながる女性も多くいます。

「怖い」「不安」「とにかくその気になれない…」という時は、無理せずパートナーに気持ちを伝え、性行為を断りましょう。

異変があれば、必ず病院へ

• 腹痛がある
• おりものの色や量が普段と違う

など、性感染症が疑われる症状があるときは、放置せずに医療機関を受診しましょう。

性感染症の種類によっては、母子ともに重篤な症状につながる危険性もあるので、できるだけ早い受診を心がけましょう。

合わせて読みたい

【妊娠中期】性行為後に出血｜赤ちゃんは大丈夫？病院へいくべき？

2022-04-12

妊娠中期の安定期なのに性行為後に出血があった…胎児に問題がないかどうか心配「妊娠中期の性行為後の出血」について、お医者さんに聞きま...

続きを読む

合わせて読みたい

「生理的に無理」妊娠中に旦那が嫌いになる理由。離婚を防ぐアドバイスも

2022-03-31

妊娠中に旦那が嫌いになりそう…。生理的に無理になってしまうのはなぜ？「妊娠中に旦那を嫌いになること」について先輩ママ50人にアンケ...

続きを読む