出産後の血腫が痛い!産道損傷の原因と症状。保険適用・自然治癒は?|医師監修

出産後の血腫が痛い!産道損傷の原因と症状。保険適用・自然治癒は?|医師監修

公開日:2019-09-27 | 更新日:2022-05-13

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出産後の血腫とは?

原因と症状、治療法をお医者さんが解説します。自然に治るのか、治療に保険は適用されるのかも聞きました。

石野 博嗣 先生

監修医

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長

KAJITAKU

出産後の血腫とは?

血腫とは、血液が袋状に溜まってしまい腫れた状態です。比較的簡単に縫合して処置できるものから、手術が必要なものまで多種多様です。

<出産後の代表的な血腫>
外陰血腫::外陰部(尿生殖隔膜より下方)にできる
膣壁血腫:膣内(尿生殖隔膜より上方)にできる

出産後の血腫の症状

出産後に「血腫」ができると、以下のような症状があらわれます。

  1. 我慢しがたい強い痛み。
  2. 肛門が押されるような感覚になる。
  3. 排尿、排便感。

血腫が大きければ大きいほど、内出血の量が増加します。10㎝以上の大きさの血腫ができる場合もあります。そのまま放置するとだんだん増大していくこともあります。

また、膣の奥の部分で血腫ができた場合、痛みがないまま血腫だけ増大し、突然ショック状態になる恐れがあります(貧血状態)。

出産後の血腫の原因

出産後の血腫は、「産道損傷」もしくは「産後出血」の一つの病態です。

<原因として考えられること>

  1. 出産時に、子宮や膣に傷が生じた。
  2. 胎盤の一部がまだ残っていることに気が付かず、産褥期に大量出血した。
  3. 分娩時の産道裂傷からの出血。
  4. 分娩後、会陰切開・会陰裂傷の縫合部分や、傷がないはずの膣壁・外陰部皮膚・粘膜下で大量出血が起こり血腫ができる。
  5. 傷がない部分でも、胎児の頭等が通った際に、引き延ばされた膣壁内を走る血管が切れて内出血が起きた(スピード出産)。
  6. 吸引分娩、鉗子分娩により、膣壁に摩擦が生じた。
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自然治癒する?

先生(男性)
基本的には、血腫は自然に吸収されるため、時間は掛かりますが自然治癒していくと考えられています。

しかし、血腫は激しい痛みを伴うケースが多いため、痛みに耐え続けるのはとてもつらいと考えられます。

治療方法(手術)について

先生(男性)
血腫が発生した場合、大半が強い痛みを伴うため、小さい血腫であっても、基本的には局所麻酔による血腫除去手術が行われます。

<血腫除去手術の流れ>

  1. 血腫表面(皮膚、粘膜)を切開して、内部にできた血腫(血の塊)を除去する。
  2. 血腫内部の血管で止血ができていない場合には、その部分を正確に縫合し止血する。
  3. 出血部の確認が困難な場合は、ガーゼ等を詰め込み圧迫して止血する。
  4. 切開したところを縫合する。
  5. 血腫の再発生を予防するために、ドレーンという管を挿入するケースがある。

5㎝以下の大きさの血腫の場合には、痛み止め等の薬を使用して経過を観察するケースがあります。

反対に、血腫が驚くほど大きい場合や、出血している部分がはっきり分からない場合には、開腹手術になるケースもあります。

保険適用について

先生(男性)
血腫除去の手術の理由が異常分娩であった場合、健康保険が適用されるケースが多いです。

※しかし、民間の医療保険会社の適用になるかどうかは保険の種類によると考えられています。

手術費用の目安

先生(男性)
一例としては、20万円程度といわれています。

※症状の程度や、各種医療機関により費用は異なります。

手術後は無理をせず安静を保ち、一日も早く元気になることを目指してください。

早く回復するために

治療後、早く回復するために、以下の2点に気をつけましょう。

  1. 患部の清潔を心掛け、下着等が患部に触れないように気をつけましょう。
  2. 特に膣血腫の場合、産後の夫婦生活は傷が完治するまでは控えましょう。

痛みが出た場合は、再出血の恐れがあるので、速やかに医療機関を受診してください。
痛みが出ていない場合も、定期的に経過観察をしてもらいましょう。

先生(男性)
<ワンポイント・アドバイス>
もう一度出産する際は、いきみのがしの方法を把握しておき、「急にいきまない」ように意識しましょう。
参照
研修ノートより「産道損傷」 - 日本産婦人科医会
http://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/MEMBERS/TANPA/H10/980928.html
産後のトラブル | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修
http://w-health.jp/fetation/after-childbirth/
分娩後出血-産婦人科医のための臨床管理ガイドライン
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~obgy/pdf/AOCG/ACOG%20TB%20PDF36.pdf#search=%27%E5%87%BA%E7%94%A3%E6%99%82+%E8%A1%80%E8%85%AB%27
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院
http://www.hosp.ncgm.go.jp/inpatient/070/index.html

※記事の内容は公開日時点の情報です。公開後の状況により、内容に変更が生じる場合があります。

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