新生児の「乳児湿疹」の治し方｜病院に行くタイミング・アトピーとの違いも

生まれたばかりの赤ちゃんの体に湿疹が･･･。
顔や首、お腹や頭にまで湿疹ができることも。

それは「乳児湿疹」の可能性があります。

「正しい治し方」と「やってはいけないスキンケア」をお医者さんに聞きました。

監修医

JUN CLINIC横浜

長谷川 佳子 先生

経歴

北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院　形成外科、藤沢湘南台病院　形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター　形成外科
横浜栄共済病院　形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長
を経て2024年JUN CLINIC横浜 就任

形成外科、美容皮膚科、皮膚科、外科など様々な分野を担当。
学会、大学病院、研究施設などへのアプローチ発表など、常に手を尽くして研究を行っている。
女性目線で、きめ細やかなケアと笑顔で診療することを心がける。
執筆を通し、様々な経験に基づいた根拠ある情報の提供を行う。

乳児湿疹の2つの原因

新生児は、乳児湿疹ができやすい状態です。
なぜなら

1. ホルモンがまだ不安定で、皮脂分泌が過剰になる
2. 毛穴が小さいので、すぐに皮脂がつまる

ためです。

乳児湿疹はいつ治る？

赤ちゃんのホルモンバランスが落ち着く、生後2〜3ヶ月頃から徐々に落ち着きはじめます。
だいたい1歳ごろには、湿疹がでにくくなることが多いです。

いずれ治るなら、放置していい？

放置して自然治癒を待つことはおすすめできません。

放置すると、乳児湿疹を繰り返すようになったり、湿疹が全身に広がることがあります。
湿疹状態が続くと、肌がゴワゴワに硬くなります。するとお薬が効くにくくなり、治癒するまでにもっと時間がかかってしまうこともあります。

この状態が続くと、湿疹の痕が残ってしまったり、アトピー性皮膚炎発症の一因になってしまうことも考えられます。また、かゆくて眠れなくなり、体調不良につながる場合もあります。

乳児湿疹の対処法

新生児の湿疹は、

1. 肌を清潔に保つ
2. 保湿対策を行う

ことで、悪化を防げます。

「早く治すためにできるケア方法」を解説します。

沐浴のしかた

お湯で流すだけでは、十分に皮脂を洗い流せません。
石鹸を使用して洗い流す必要があります。

1. 石鹸をよく泡立てる
2. 手を使い、なでるように洗う
3. ぬるま湯で洗い流す
4. タオルを当てて、水分を吸い取る

＜ワンポイント・アドバイス＞
洗浄には、手を使うのがよいでしょう。
ゴシゴシ洗いは禁物です！

スキンケアのしかた

お風呂上りには、保湿クリームや薬を塗ってあげましょう。

入浴後そのままにしておくと、肌の乾燥を補おうとして、皮脂が過剰に分泌されます。そのため保湿のケアが必要なのです。

保湿クリームなどは、「水をしっかり拭き取ってから塗る」「マッサージするように優しく塗る」の2つがポイントです。

湿疹部分も塗っても大丈夫なことが多い（皮が向けていたり、傷がついているときは除く）ですが、念のため主治医に確認しましょう。

＜ワンポイント・アドバイス＞
塗るときは、力が入りにくい「薬指」を使って塗ってあげるとよいですね。

部屋の環境の整え方

気温・湿度が高すぎると、湿疹が強く出る傾向があります。

部屋の気温・湿度を適正に保つのも大切です。湿疹ケア期間は。適度にエアコンを使用しましょう。

市販のスキンケア商品の選び方

市販のスキンケア商品は、不要な成分が配合されているものも多いです。必ずベビー用の商品を使用してください。

お薬の選び方

乳児湿疹には、どんな市販薬を選べばよいでしょうか。

ベビー用の市販薬を選びましょう。
非ステロイド系抗炎症剤は、生後１カ月くらいでも使用できるものが多いです。

ステロイドも、正しく使えば効果が高いものです。ただ、赤ちゃんの肌はとってもデリケート。強さのランクがあるので、症状と年齢を伝え、適切なものを薬剤師の方に聞いて選びましょう。

また、過去にアレルギーがでたものは避け、初めて使うものは、少し塗ってみて、様子を見ると安心です。

病院に行くタイミング

• 湿疹をかきむしっている
• 湿疹が広がっている
• 湿疹以外の症状がでている（発熱・嘔吐・ぐったりしている等）

という場合は、病院を受診しましょう。

新生児は皮膚がまだ薄く弱いため、早め早めに治療を受けて、皮膚にダメージを残さないようにしましょう。

病院は、小児科または皮膚科を受診しましょう。
（※発熱など、皮膚以外にも症状がある場合は小児科を受診しましょう。）

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「乳児湿疹」と「アトピー」は何が違う？

乳児湿疹とアトピーの症状は、どう違うのでしょうか？

アトピー性皮膚炎は乳児湿疹の１つです。
アトピー性皮膚炎とはまだ診断できない状態の湿疹は、「乳児湿疹」です。

生後2週～2か月頃に症状がでる乳児湿疹は、皮脂分泌の多い顔・首・頭などにできます。
生後2～3ヶ月頃から診断がつきやすくなるアトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下することによって発症し、全身に湿疹が起こります。乳児湿疹が長引いている場合はアトピー性皮膚炎のことがあります。

乳児湿疹からアトピーになることもあるって本当？

アトピーを発症する理由はわかっていない点が多いため、そうとは言い切れません。
ただし、乳児湿疹が続き皮膚のバリア機能が落ちると、アトピーを発症する原因のひとつになることがあります。

アトピー性皮膚炎の発症の要因はたくさんあります。
そのため「乳児湿疹が原因になる」とは言い切れません。

しかし、乳児湿疹を繰り返し、肌がゴワゴワになり、皮膚に刺激が入りやすい常態が続くと、アトピー発症につながる場合もあります。

乳児湿疹を繰り返しているときは、早期受診してケアを始めましょう。

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