母乳育児のメリット&デメリット!軌道に乗るまでの流れ|医師監修

母乳育児のメリット&デメリット!軌道に乗るまでの流れ|医師監修

公開日:2019-09-03 | 更新日:2023-05-30

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母乳育児には、母親にとっても、赤ちゃんにとっても“いいこと”があります。メリットがたくさんある一方、デメリットがないわけではありません。

また、「母乳育児がつらい」というママも少なくありません。母乳育児のやり方注意点などを解説します。

石野 博嗣 先生

監修医

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長

母乳育児のメリット

先生(男性)

赤ちゃんが健康に育つための栄養素が多く含まれており、代謝負担が少ないのが特徴です。

また、赤ちゃんの感染症やアレルギー・乳幼児突発死症候群・肥満・糖尿病の発症を予防するといわれています。

また、母乳は新鮮かつ衛生的であることもメリットです。赤ちゃんは母乳を吸うことにより、顔の筋肉やあごの発達を促すともいわれています。

母乳育児のデメリット

メリットがたくさんある一方、デメリットがないわけではありません。
また、「母乳育児がつらい」というママも少なくありません。

ママ側のデメリット

先生(男性)
産後、まだ体が回復しきっていない状態での睡眠不足や疲労蓄積は、ママにとっての最大のデメリットと言えます。

母乳は消化が良く、腹持ちしません。そのため、昼夜問わず頻繁に授乳をしなくてはならず、体力を消耗します。さらに、乳頭に亀裂や傷みを生じるなどのトラブルもあります。

また、母乳は飲ませた量を確認できないため、母乳が足りているか不安になるママもいます。外出先での授乳スペースが限られていたり、赤ちゃんを預けることも難しかったり、不便だと感じることもあるでしょう。

赤ちゃん側のデメリット

先生(男性)
母乳は消化されやすく、すぐにお腹が空いてしまいます。

また、母乳は人工ミルクに比べてビタミンKが少ないため、ビタミンKの投与が推奨されています。

日本では「母乳育児がよい」という人が多いけれど…

先生(男性)

ママにとって、完全母乳育児の負担が大きく、ストレスになるのであれば、必要に応じてミルクを使用しても構いません。

赤ちゃんに必要な栄養補給ができる点でいえば、母乳育児もミルク育児も変わりません。

母乳には赤ちゃんが健康に育つための栄養素が多く含まれており、代謝負担が少ないのが特徴です。赤ちゃんの感染症やアレルギー・乳幼児突発死症候群・肥満・糖尿病の発症を予防するといわれています。

授乳することで産後の母体回復を促したり、エネルギーを消費するため減量しやすくなったりします。ママの乳がんや子宮がん、卵巣がん、骨粗鬆症の予防にも繋がるという研究があります。

このように母乳にメリットが多くあるのは確かですが、ミルクでも赤ちゃんはきちんと育ちます。負担が大きい場合は、ミルクを活用してください。

母乳育児の基本的なやり方

先生(男性)
新生児の間は、3時間おきの授乳が目安(1日に8~10回程行う頻回授乳)ですが、赤ちゃんが欲しがったら満足するまで与えましょう。

授乳の手順

1.赤ちゃんが下記のような母乳を欲しがっているサインをしたら、授乳しましょう。

  • おっぱいを吸うように口を動かす
  • おっぱいを吸うときのような音を立てる
  • 手を口に持っていく
  • クーとかハーのような柔らかい声を出す
  • すばやく目を動かす
  • むずがる

2.抱き方は以下を参考に、授乳してください。

赤ちゃんに上手に飲ませるコツ

  • お母さんの胸を赤ちゃんのお腹と合わせるようにして、赤ちゃんの体をぴったりつけるように抱く。
  • 赤ちゃんの体全体をおっぱいの方に向ける。
  • 赤ちゃんの口は乳頭と同じ高さにする。
  • 赤ちゃんの 耳・肩・腰が一直線になるように抱く。
  • お母さんが近付くのではなく、赤ちゃんを引き寄せるようにする。

授乳するときの「正しい姿勢」

背中をまっすぐ伸ばし、骨盤を起こして、左右バランスよく座りましょう。
背中が曲がった状態だと、赤ちゃんが飲みにくいですし、お腹のたるみにも繋がります。

※添い乳は窒息死のリスクがあるため、できるだけ避けましょう。

軌道に乗るまでにかかる日数

出産後2~5日頃

「初乳」と呼ばれる、たんぱく質や抗体を多く含む母乳が出ます。

出産後10日

糖質や脂質を多く含む「成乳」が出てきます。

出産後6~8週

1日の授乳回数・間隔・量が安定します。

※一般的な例です。日数には個人差があります。

先生(男性)
授乳量や授乳タイミングには、もちろん個人差があります。赤ちゃんやママの体調を考慮しながら、あせらずに感覚を掴んでいきましょう。

軌道に乗るまでの進め方

なかなか母乳がでてきません…。
どう対処するのが適切でしょうか?
ママ
先生(男性)
血液の循環をよくするために、体を温めたり、マッサージしたりしましょう。

母乳は、血液からでてくるので、体がストレスを感じていたり、冷えていたりすると血液も停滞しがちになり、母乳が出にくくなることがあります。

以下のことを意識しましょう。

  • 体を温める
  • 気分をリフレッシュする
  • 温かい飲み物を飲み、体を温める
  • 母乳をあげる前に湯船でおっぱいを温める
  • マッサージしておっぱいを温める

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赤ちゃんに上手に飲めないときは…

なかなか赤ちゃんが母乳を上手に飲めないです。
練習のしかた・うまく飲ませるコツがあれば教えてください。
ママ
先生(男性)
乳頭を柔らかくするために、「乳頭マッサージ」を行いましょう。

産まれたばかりの赤ちゃんはおっぱいを吸う力がまだ弱いため、上手に母乳を飲むことができないケースがあります。

授乳前に乳頭マッサージをすると、乳頭が柔らかくなって伸びるようになるため、赤ちゃんが吸いやすくなります

また、哺乳瓶からは比較的楽に飲めるため、母乳よりもミルクを好むケースがあります。

乳頭マッサージの手順

  1. 片手でおっぱいを支えるようにして、もう一方の手の親指、人差し指、中指を用いて乳頭をつまむ。
  2. 通常は3秒ほど、乳頭が硬くなっている場合は5~10秒ほどかけて徐々に圧をかけながら圧迫していく。
  3. 位置や方向を変えながら、乳頭、乳輪部分を約1分間圧迫する。
  4. 縦横方向にくるくるとこよりを作る感覚でもむ。(最初はゆっくりで徐々に圧をかける)

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おすすめの食事・控える食事

先生(男性)
母乳と食べ物の関連性を示した研究はありません。
母体を健康に保つために、栄養バランスのとれた食事を取ることが大切です。

ただし、母乳育児をしていると鉄分が減りやすいので、鉄分補給は意識して行いましょう。

鉄分補給には、ほうれん草・納豆・牛肉レバー・いわしなどがおすすめです。

先生(男性)

母乳育児中に気をつけたい食べ物・飲み物としては、

  • アルコール
  • カフェインを含む飲み物
  • インスタント食品

があげられます。

授乳前は、カフェインを含む飲み物は控えましょう。
授乳期間中は、飲酒・自己判断による薬の服用は控えましょう。

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授乳はいつからいつまで続く?

母乳育児はいつから?

先生(男性)
早くて産後30分以内です。
しかし、すぐに母乳がでないこともあります。

母乳育児はいつまで?

先生(男性)
卒乳時期は生後 12か月から18か月頃の方が多いとされています。
卒乳の目安は、1日3食で栄養素を摂れ、母乳や人工乳以外の水分が摂れるようになることです。

離乳開始は、「月齢」を目安にしている方が多いですが、そのほか「母乳ではなく食べ物が欲しがるようになった」タイミングを目安に開始する方もいます。

離乳スタート時期は、「生後6か月」くらいからが 44.9%と最も多く、卒乳完了時期は「生後13〜15か月」が33.3%と最も多くいます。
(平成27年度乳幼児栄養調査結果より)

ただし、なかなか卒乳できなくても、無理に辞めさせる必要はありません。授乳はママと赤ちゃんのコミュニケーションの一つ。「時期が来たから卒乳」ではなく、自然と欲しがらなくなる時期を待ちましょう。

母乳育児のよくある悩みQ&A

母乳がでない、母乳を飲まない、母乳育児がつらい…。そんなママの母乳の悩みに答えます。

母乳が出ない

先生(男性)
母乳がなかなか出ない時も、赤ちゃんに吸ってもらいましょう。赤ちゃんがおっぱいを吸うことでホルモンが分泌され、母乳が出ます。

母体が回復してくる頃には、母乳が安定して出るようになることも多いです。母乳が出なくてもストレスに思わず、リラックスして過ごすことも大切です。
また、栄養素バランスの良い食事水分摂取を心がけ、体を冷やさないようにしましょう。母体が回復してきたら、おっぱいマッサージやストレッチなどの軽い運動をするのも良いでしょう。

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新生児が母乳を飲まない

先生(男性)
ママの生活習慣や授乳体勢を見直してみましょう。
哺乳瓶の方が飲みやすい場合もあります。

母乳は、ママの食生活やストレスで日々変化するという意見もあります。普段と違う授乳環境だと飲まなくなることもあります。ママの乳首の状態や授乳姿勢によっても吸いやすさが変わります。

人工ミルクも与えている場合、吸う力の弱い赤ちゃんにとって哺乳瓶の方が飲みやすく、母乳を飲みたがらないことがあります。その他「乳頭混乱」と言ってママの乳首と哺乳瓶の吸い口の違いに混乱しているとも考えられます。

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